小さくて静かな「戦い」

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その人は、二人掛けのバスの席に
足を横に広げるように座っていた。

そこに、大きな買い物袋を提げた
女性が乗ってきて、袋をパチパチ
言わせながら腰かけた。

前から座っている女性は、足を寄せる
訳でもなく、体だけ窓に押しつけスマ
ホを斜めにして見始めた。

前から居た女性が先に、降りるバス停
が近づいてきた。女性は、バスが留まる
前から立ち上がり、何も言わずに押し
出ようとしている。

後から座った女性は、バスが留まるまで
泰然と座ったまま。いよいよバス停に着き
降りる女性は、物も言わず、にらみつける
ように座っていた女性を一瞥して降りた。

途中、先に降りようとした女性が、座って
いる女性の傘に自分のバッグを引っ掛けた
ことに気づかず、なかなか前に進めない
瞬間があったのだが、座っている女性は
それさえもただ黙って見ていた。

「戦い」という気配が静かに漂っていた。

これって「トカゲの脳」の戦いかなぁ。
国と国の戦いも、もしかしたらこんな
感じで始まるのかもしれない。
いや、こんな感じ(反応)に仕立てられ
巻き込まれてしまうのかもしれない。

それにしても、先に座っていたほうの
女性の不満の源泉って何なんだろう?
きれいな顔立ちの人だったのに、曇った
表情が心残りだ。

雨の中、遠くで選挙の音が聞こえていた。

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明日もきっと佳い日

門田 保子公認心理師
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小さくて静かな「戦い」”へ2件のコメント

  1. くろしろパンダ より:

    あるある~って感じです。それを傍から気づいて見ている方がドキドキしちゃいますよねぇ。
    あの強気というか、単なる意地悪というか、性格?というか、殺伐とした空気が怖い…

    1. yasuko より:

      くろしろパンダさん
      コメントありがとうございます。

      そうですね。あまり遭遇したことないっていうか、
      初めてでしたが、勝手にですがハラハラしていました。
      戦わなくちゃいけないだけの怒りって何がおありな
      んでしょうね~

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