二十数年前入居した時、隣の奥さんは
いつもピアノを弾いていて
昼となく夜となくショパンのマズルカが
響いていた。

その次に越してこられた奥さんは
若くてハツラツいつも元気いっぱいで
何かおすそ分けをすると
ソッコーでお返しを持って来られる
幼稚園ママだった。

三番目に越して来られた奥さんは
髪をひっつめにして柔らかい笑顔を
見せてくださっていたが、ほどなく
近くの新築マンションに越していかれた。

その次の奥さんは、バス停で佇んでいても
気軽に声を掛けてくださるような気さくな方
だったが、野球好きなご主人の母校の近くを
終の棲家にすると越していかれた。

そして、入れ替わりに入って来られた奥さんは
子ども返りをされたようで、ご主人が毎日
優しく温かく見守っていらっしゃる。

どの方とも特に親しかったわけではないけれど
お隣に誰かが居てくださることの安心感や
安堵感のようなものにずっと守られてきた。
そのことをとても有り難いと思う。