見渡す

いつもの車窓から見慣れた風景の
もう少し向こうに目をやってみる

そこには「見たこともない」と感じる
「初めての」景色

意識したことのない風景が広がっているけれど
目を向けるずっと前からそこにあった建物や空間

狭いと思っていたところは広くて
いつもと同じと思っていたところは同じではなく

もう全部知ってると思っていたところの
何も知らなかった

知らなかったということを知った

景色が動く
心が動く

見るかどうか選んでいたのは自分だった
どう見るかを選んでいたのも自分だった

高い所に上らなくても
どこか遠くに出かけなくても
いつもの車窓からずっと目にしていた
初めての景色