父の美意識
子どもの頃、田舎に帰省するたびに
父は近所や親戚に土産物を届けていた。
そして先方からも何かしら頂き物をしていた
のだが、父はその時にお礼を言った後
道やお寺やどこかで顔を合わせた際にも
またお礼を言い、翌日までお礼を言っていた。
子ども心にそんな父の態度が何か大げさな
感じがして
「ちょっとしつこ過ぎない?」
みたいなことを言ったことがあった。
父はにべもなく
「まだ少ないくらいだ。礼は3回以上言え」
と言っていた。
そんな父が正直嫌だったけど
今にして思うとそれは父なりの美意識というか
礼を尽くす態度だったのではないかと思う。
子ども目線で見た時、父は
ホームドラマに出てくるような理想の父親では
なかったけれど、私は
この父を選んで生まれてきたのかも知れないと
最近少しそう思う。
明日もきっと佳い日
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